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[インサイト事業部]
Z世代マーケティングの手法10選!成功事例や商品事例も紹介
企業のマーケティングにおいて、Z世代への施策は必要不可欠です。
しかし、Z世代はデジタルネイティブ世代とも呼ばれており、他の世代と考え方や行動が大きく異なります。他の世代と同様のマーケティングだと失敗する可能性も…。
そこで本記事では、Z世代に向けたマーケティングの手法を解説します。
- Z世代の特徴
- Z世代に向けた効果的なマーケティング手法
- 具体的な成功例
この記事を読むことで、Z世代の概要やZ世代にささるマーケティングが理解できます。ぜひ今後のマーケティングの参考にしてください。
Z世代とは
そもそもZ世代とは、なんでしょうか? Z世代の定義や他の世代との違いを解説します。
Z世代の年齢や定義
Z世代とは、生まれたときからインターネットが当たり前にある「デジタルネイティブ」世代で、1990年代後半から2010年代までに生まれた世代のことを指します。
物心がついた時からパソコンやスマートフォンなど、デジタルデバイスやデジタル技術に触れているため、インターネットやデジタル環境との親和性が非常に高いのが特徴です。
アメリカにおいて「Generation Z」と呼ばれていたことから、日本でも「Z世代」という呼び方が広まりました。
世代別の違い
また、Z世代以前にも世代区分があります。他の世代の定義についてご紹介します。
ミレニアル世代の定義
ミレニアル世代とは、2000年代以降に成人を迎えた世代を指します。インターネットの誕生やITの発展を身近で見てきた世代です。Z世代のひとつ前の世代として扱われています。
ミレニアルは西暦を1000年単位で区切った「millennial」に由来しています。アメリカで「ミレニアルズ」と呼ばれたことから、日本でも「ミレニアル世代」という呼び方が定着しました。
Y世代の定義
Y世代とは生まれた時期が1980年代から2000年代初頭の世代です。ミレニアル世代と生まれた時期がほとんど被っているため、「Y世代」と「ミレニアル世代」は、ほぼ同義と扱われます。
1960年代前半から1980年代前半に誕生したX世代の次の世代ということで、「Y世代」と呼ばれています。
Z世代マーケティングが重要な理由
Z世代をターゲットとしたマーケティングは、他の世代と比べて非常に重要です。重要な理由を解説します。
消費行動が大きくなる世代だから
Z世代は全世界で約25億人(2019年時点)に上り、消費行動の中心を担う世代です。日本ではZ世代より高齢者の方が多いですが、世界的に見ると、Z世代は人口の約3割を占めています。
また、Z世代の消費による経済効果は年間約15兆円に達し、Z世代の消費行動を理解することが売上を上げることにおいて重要です。Z世代の母数が多いことから、Z世代をターゲットにすることは効率的なマーケティング活動とも言えます。
デジタルネイティブ世代で価値観が他の世代と違うから
デジタルネイティブ世代であるZ世代は、多様な価値観を持ち、インターネット上でさまざまな人と接しているため、多様な価値観を受け入れ尊重するようになりました。
また、自分自身の価値観も大切にしているため、自分にとって価値があるものには時間やお金を投じるといった、自己表現に繋がる購買行動を取ります。単に機能やコスパだけで商品選択をする他の世代とは、大きく異なる点です。
Z世代マーケティングに活用できる10ポイント
Z世代へのマーケティングは、ビジネス上で非常に重要です。以下ではZ世代に刺さるマーケティングについて、10つのポイントをご紹介します。
1.インフルエンサーを活用する
SNS上のインフルエンサーを活用することで、Z世代に大きな影響を与えられます。Z世代は、InstagramやTikTokなどのSNSで活発に情報収集をしているからです。
人気のインフルエンサーが紹介した商品や店舗の売り上げが急上昇することは珍しくありません。企業や店舗は、ターゲットに人気のインフルエンサーを積極的に活用することで、知名度や売り上げの向上に繋がります。
2.SNSでシェアできる仕組み
Z世代のユーザーがSNSでシェアしたくなる仕組みを作ることで、より効率的に市場を拡大できます。Z世代はSNSを日常的に使っており、私生活を友人同士などで頻繁に共有しているからです。
TesTee Lab.の調査によると、Z世代のSNS使用率はなんと98%。SNS上で企業のサービスや商品をシェアしてもらうことで、98%のZ世代に情報を提供できます。ハッシュタグの活用やキャンペーンなど、SNSでシェアを促す仕組みは非常に効率的なマーケティング手法です。
3.ターゲットでチャネルを使い分ける
ターゲット層に合わせてSNSのチャネルを使い分けましょう。Z世代はSNSを使い分ける傾向にあるからです。
例えば、SHIBUYA109エンタテイメントの調査によると、男性はX(Twitter)で情報収集・発信するのに対し、女性はInstagramを使う傾向があります。よって、ターゲット層によりSNSのチャネルを変える必要があります。
またチャネルが変わるため、それに合わせてプロモーションも変わります。Xでは主に文章でのプロモーション、Instagramでは写真や動画メインのプロモーションになります。ターゲット層を考慮した上でチャネルを使い分け、プロモーション計画を立てましょう。
4.信頼度の高い情報発信
信頼度の高い情報を発信することは必須です。デジタルネイティブであるZ世代は、ネットで収集した情報の妥当性を判断する能力に長けています。第三者機関の認証や専門家からの評価など、信頼性のある情報提供が必要です。
なかでも信頼が高いのは、以下になります。
- 公式マーク
- 企業アカウント
- インフルエンサー
情報を発信する際は、公式マークを付けた企業アカウントから行うか、Z世代から信頼を得ているインフルエンサーに依頼するのが良いでしょう。
5.購入しやすく選定しやすい導線設計
Z世代は自分の買いたいものについて、SNSの情報を徹底的に収集してから購入するため、スムーズな購買や決済の流れを設計することが重要です。購入までのプロセスが非常に長く、中には途中で知り得た情報を忘れて買い忘れることも。
よって、Z世代には欲しいと感じた瞬間に購入できる仕組みや決済の設計が重要です。SNSに購入サイトのURLを挿入することやカード決済を導入することで、顧客の途中離脱を防げます。
6.リアルな体験ができる仕組み
Z世代は「もの」を消費することより「リアルな体験」を求めています。日頃のオンライン上では得られない経験をしたいという欲求の現れです。
高価な服や食べ物といった「モノ」より、旅行や体験などの「コト」を重要視します。直近で人気になったのは「スターバックス都道府県巡り」です。全都道府県でオリジナルドリンクが発売され、それを巡るというものです。
「ドリンクを消費する」ことより「様々な店舗を巡る」体験にZ世代の心は惹かれました。このような体験型イベントやポップアップショップなど、オフラインでしか味わえないリアルな体験ができる仕組みは、Z世代マーケティングで非常に有効です。
7.共感性を充実させる
Z世代は商品のコスパや性能だけでなく、共感や感情的な充足感に重きを置いているため、共感できるコンテンツやサービスを充実させましょう。
SNSの投稿やインフルエンサーも自分の価値観にあったものに注目し、フォローする傾向があります。例えば環境保全に関心がある人は、サステナブルな活動を積極的に行う人や企業をフォローします。
また、企業の商品やサービスについても、その背景や誕生までの独自ストーリーに関心を持たせることでフォロワーや顧客獲得に繋がるでしょう。
8.トレンドや流行に乗る
Z世代マーケティングでは、新しいトレンドや流行をつねに把握しておく必要があります。Z世代は常に変化し続ける時代に生まれたため、新しい流行に敏感だからです。
Z世代は特に、SNS上の情報からトレンドや流行を把握しています。よって、マーケティングをするうえでSNSの情報の把握は必要不可欠です。
それに加えて、実際にZ世代の生の声をヒアリングすることで、よりトレンドに乗ったマーケティング戦略を立てられます。
9.価値観や背景も消費者に伝える
Z世代は商品やサービスのコスパや性能だけでなく、その背景やストーリーにも関心を持つため、商品ブランドの背景や価値観などのストーリーを伝えることが有効です。
サステナブルな商品は、典型的な例と言えます。例えばNIKEの「スペースヒッピー」は、宇宙ゴミを使ったサステナブルな商品として、Z世代から注目を集めました。NIKEの靴そのものより、サステナブルに配慮したという背景が購入に繋がっています。
10.レビューや口コミを取り入れる
Z世代は第3者の感想や評価を購買の判断材料にしているため、商品レビューや口コミを公開するようにしましょう。
例えば、レストラン選びではGoogle mapの口コミやグルメサイトでレビューや口コミを見て判断しています。他にもコスメ選びでは、SNSの投稿で他の人の使用感を確認してから商品を買うようです。
反対にレビューや口コミなしでは、商品の良し悪しの判断ができず、Z世代の手が出しづらい商品になります。積極的にレビューや口コミは公開できる環境を整えましょう。
Z世代の特徴
Z世代マーケティングをするに当たり、Z世代の特徴を理解することは必要不可欠です。以下では、4つのZ世代ならではの特徴を解説します。
デジタルネイティブ世代
Z世代は物心がついた時からインターネットやデジタルデバイスが当たり前に存在していた「デジタルネイティブ世代」です。スマートフォンやSNSを自然と使いこなすことができます。
情報収集や買い物はもちろん、コミュニケーションや恋人作りまで、インターネットを通じてあらゆる活動を行う世代です。多様な情報や人との接点が多いため、幅広い視野や多様性に富んだ価値観を持っています。
ソーシャルネイティブで情報発信に長けている
Z世代は情報収集だけでなく、情報発信にも長けています。InstagramやTwitter(X)といったソーシャルメディアを自然に使いこなす「ソーシャルネイティブ」だからです。
数年前に「インスタ映え」という言葉が流行したのも、ソーシャルネイティブなZ世代ならではです。フォロワーが羨ましく思うような旅行先での景色やおしゃれなランチなどを投稿するのがブームになりました。
現在でもZ世代は、SNSを用いて自分の魅力やオリジナリティを発信しているため、他の世代より情報の発信に長けていると言えます。
社会問題に興味を持っている
Z世代は、環境問題や人種などの多様性についての教育を幼い頃から受けているため、SDGsなどの社会問題への関心が強く、サステナビリティへの意識が高いです。
他にも環境問題についてのワークショップや課外活動も積極的に行われています。脱炭素行動が生まれるムーブメントを起こす「CQプロジェクト」もそのひとつです。
環境問題を「自分ごと化」してもらうサステナブルツアーやサステナブルな行動を「楽しみながら」「自然に」行える取り組みをしています。このような教育や活動の効果もあり、Z世代は社会問題への興味が他の世代と比べて高いです。
生き方や働き方の多様化
Z世代は多様な生き方をを選べる時代です。自分らしさを大切にして自由に生き方を選択し、他者の多様な選択も尊重して受け入れる風潮があるからです。
終身雇用制度が薄れており、キャリアアップのために転職する人や起業する人が増えています。「転職は甘え」「田舎で暮らすのは逃げだ」などといった偏見もなく、多様なライフスタイルが受け入れられるのがZ世代です。
Z世代マーケティングの成功事例
実際にZ世代マーケティングでの成功事例を3つ紹介します。
「おさ活」TikTok|株式会社タップル
マッチングアプリ「タップル」の公式TikTokアカウント「おさ活」が、アカウント開設わずか1年でフォロワー34万、累計再生回数2億回を突破しました。
おさ活とは「恋をしなくなった」と言われるZ世代に向けて、恋愛の楽しさを伝えるショートドラマの配信をしてるアカウントです。幼馴染と共同生活する内容になっており、Z世代の好きな少女漫画のような展開が人気の秘訣。
このTikTokの運用により、恋をしたい人の総数を増やしてタップルへの登録を促しました。
「どうする?私」TikTok|三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
「北海道の行政の事業紹介」をショートドラマ化した「どうする?私」が、TikTokで総視聴回数220万、いいね数1万5000を超えました。三菱UFJ銀行主催の「MUFG北海道推しごとオーディション」の一環です。
1人の女子大生がイケメンたちに呼び出されて、告白されるかと思いきや、彼らが取り組んでいる事業について熱く説明されるという、面白おかしいストーリー展開となっています。
この企画は北海道へのふるさと納税を促進することが目的です。Z世代から大人気の「恋愛リアリティショー」と「TikTok」を掛け合わせることで成功したマーケティングの事例と言えます。
カロリーメイト|大塚製薬株式会社
受験期やテスト期間のモチベーション維持のための「SNS勉強アカウント」を用いる行動に目をつけたのが「カロリーメイト@勉強垢」の施策です。
本アカウントでは受験期に「絵馬メイト」という企画を実施しました。絵馬に書きたい願いををSNSで募集し、それらを大学生が実際の巨大絵馬に書き奉納するというものです。
カロリーメイトを食べる機会の多い受験生に寄り添った応援企画により、ターゲット層の商品に対するイメージアップに繋がった成功事例と言えます。
Z世代向けの商品事例
続いてZ世代向けに成功した商品の事例を2つ解説します。
SEA BREEZE|株式会社資生堂
Z世代に人気の制汗剤「SEA BREEZE」が推しの日(11月4日)に投稿したツイートが話題になりました。
8色展開の可愛いパッケージと推し活を掛け合わせたプロモーションは、自分の推しのメンバーカラーのシーブリーズを買ってもらうというマーケティング戦略です。「自分の趣味嗜好には、支出を厭わない」というZ世代の特徴を活かしています。
SEA BREEZEは、他にも人気アニメとのコラボレーション企画や、ボトルに文字や絵をカスタマイズできる商品の販売など、Z世代の好みの傾向を理解した施策を実施しており、成功を納めています。
ウェイウェイらんど!|株式会社シトラム
「ウェイウェイらんど!」とは、Z世代に人気のお酒「クライナー」とすごろくを掛け合わせた宅飲み用のパーティーゲームです。この商品によりクライナーの購買促進に成功しました。
コロナ禍でもクライナーを飲んでもらうための施策として、宅飲み向けに発売し即完売しました。すごろくのマスには「おっはモーニング、朝の覚醒酒で乾杯」といった飲酒を促す内容が多く、楽しみながらクライナーをたくさん消費する仕組みです。
「Fischer’s」や「東海オンエア」、「水溜りボンド」など、Z世代から支持されているYouTuberに取り上げられたことも人気の理由です。Z世代の好みやインフルエンサー側の需要を汲み取った成功事例と言えます。
まとめ
今回は、Z世代のマーケティング手法を解説しました。Z世代はデジタルネイティブであり、他の世代と考え方や行動が異なるため、Z世代に特化したマーケティングが重要です。
SNSの活用やサステナビリティといった共感や価値観を重んじる施策など、Z世代独自の高価的なマーケティングの手法がたくさんあります。どれもZ世代の思考や特徴の理解が必要不可欠です。
すでに複数の企業では、Z世代の行動を把握しマーケティングに成功しているので、参考にしてみてください。企業の商品やサービスの良さを最大限に伝えるために、Z世代に向けたマーケティング手法を見直してみましょう。