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[インサイト事業部]

“おっさん声”で愛犬の成長記録をエンタメ化。”柴犬こむぎとボクの三浦半島”バズの裏側

柴犬こむぎと主人(あるじ)の日常動画が話題の「柴犬こむぎとボクの三浦半島」。TikTokのフォロワー18万人、YouTubeの登録者が29万人の人気コンテンツです。

「視聴者を飽きさせない」ことを徹底しているという主人さんは、実はごく普通のサラリーマンなのだとか…。そんな彼が動画投稿を始めたきっかけや、動画編集のこだわり、視聴維持率を高める方法などをお聞きしました。

はじめたきっかけは愛犬の成長記録

ーー主人さんの、これまでの経歴を教えてください。

主人さん:
僕は動画に関係する仕事をしていたわけではなく、普通のサラリーマンです。

もともとは愛犬の成長記録として撮っていたものをYouTubeのショートにあげていたのですが、インスタのリールやTikTokにもUPするようになってから人気が出て…!

最初は正直動画をアップロードしたことも忘れていたくらいだったのですが、ある日1本の動画を投稿したところ、それがバズったんですよ。アプリを開いたとき、通知の数がすごいことになっていて驚きました。

ひとつの動画がバズったことで、他の動画も観てくれたり、TikTokやインスタなどのアプリを巡回してくれるようになり、全体的にフォロワー数が増えて、いまに至ります。

ーー犬の動画にアテレコをつける、現在の動画スタイルを選んだのはなぜですか?

主人さん:
完全に深夜テンションなのですが…(笑)。「犬が何を話していたら面白いかな?」と考えて作った動画が、最初にバズった動画になったんですよ。

犬猫の動画でアテレコしているものは、語尾が「ワン」や「ニャン」のものがありますよね。でも僕は声がおっさんだから、むしろそれを活かした方が、エンタメになるな、と。

コメントを参考にしながら、ユーザーが興味のあるものを考えて動画を変化させていき、いまのスタイルになりました。

ーー最初の動画はたまたまだったのですね。主さんの動画は、テンポ感の良さも特徴的ですが、他にも気をつけていることはありますか?

主人さん:
「飽きさせない」というのをすごく意識しています。言葉の間を短くしたり、テロップを細かく切ったりして、テンポ感を出しています。テロップを読ませつつ、アテレコを聞いてもらうほうが、離脱率が低いように感じますね。

あとは、ずっと動画を定点撮影しているので、細かくズームしたり引いたりして、映像を飽きさせないことも意識しています。

実際に、YouTubeのインサイトデータでは、視聴維持率が100%を越えている動画も多いです。離脱している人もいるけれど、2、3回見てくれる人が多ければ100%を越えるんですよ。

一方で、TikTokではデータに大きな違いがありました。Z世代の視聴者が多いのか、スワイプが早く、最初の2秒くらいで興味を引かないとすぐに次の動画に行ってしまうんです。

ーーアプリごとに、視聴者層にかなり違いがあるのですね。

主人さん:
そうですね、視聴者の年齢の違いはコメントを見ていても感じます。TikTokはコメントが若いですね。短いチャットのようなコメントが多く、フランクな印象があります。

それに比べて、YouTubeショートは視聴者の年齢層が10歳くらい上なので、長くて句読点がしっかりあるようなコメントが多いです。リクエストやチャンネル全体に関するコメントがよくあるのもYouTubeですね。

バズるためには、「スワイプされない努力」が重要

ーー主人さんが、動画を作る際に気をつけていることはなんですか?

主人さん:
「犬が飼い主のことを好き」という世界観は作らないようにしています。飼い主が犬のことが好きで、犬は勘弁してよ…みたいな世界観の方が好まれているので。

ーーなるほど。動画の企画や構成は、毎回どの程度作ってから撮影していますか?

主人さん:
脚本や構成は全くありません。…というのも、撮りたい動画があったとしても、相手は犬なので思うように動いてはくれないんです。

なので、カメラを定点で置いて、そこに移ったものにストーリーをつける形で動画を作っています。定点撮影なので、映っていない、お尻を向けているなど、8割以上は使えない素材ですよ(笑)。

良い具合に取れたものを見ながら、直接アテレコしています。アテレコにも良し悪しがあるので、良い部分を切り貼りして動画を作っています。

ーー多くの素材のなかから厳選されているんですね…! 再生回数を増やすために工夫していることはありますか?

主人さん:
コメントを読みながら考えることが多いですね。

たとえば、「〇〇のキャラクターの声に似てる」とコメントが来たら、そのキャラクターのことを徹底的に調べて、有名なセリフやキーポイントで使えそうなものを探し、恐れ多いのですが動画に入れてみたり。

あとは、大きい山場だけでなく、いくつか小さい山場を作ることも重要です。

ーー「山」ですか?

主人さん:
「山」というのは、犬がオモシロイ動きをしたところや、普通はしない言い回し、テロップでの当て字(“大丈夫”を“犬丈夫”にしたり)などの引っかかる部分です。それを作ることで、最後まで観てもらうことや、2周目の視聴に繋がります。

あとは…バズとは関係ないのですが、最近の動画はみんな高画質なので、私はあえて低画質で動画をアップしています。ズームすると荒くなるんですけど、それが素人感が出て面白いかなと(笑)。

ーー「あくまで普通のサラリーマンが撮っている」のがポイントなんですね。主人さんが、動画をバズらせるために重要なことは何だと思いますか?

主人さん:
動画の始めの2秒、「掴み」の部分が大切です。そこでスワイプされずに観てくれたら、はじめの山場まで見てもらえる。すると次の山場へ…というのを繰り返して、最後まで観てもらえます。

まとめると、最初のインパクトと視聴維持率を良くして、スワイプされない努力をすることがバズるコツです。最初に疑問を思ってもらえれば、数秒は見てもらえます。その数秒でいかに興味を引けるかが大事かなと。

ーーいままでで1番伸びた動画は、それができていたということですね。

主人さん:
はい、映像もテロップも動画のはじめに動きがありました。「何だこれ?」と思わせる掴みがあれば、続きを観てもらえるはずです!

大切にしているのは「コメント欄」。視聴者コミュニケーションをとるチャンネルへ

ーーお話を聞いていると、すごく戦略的に運用されているように感じるのですが、伸びる動画の作り方はどう勉強しましたか?

主人さん:
つねに他の人の動画を観て勉強しています。

伸びている動画を見て、この動画がなぜ伸びているのか、どんなハッシュタグを使っているのか、どんなコメントが来ているのかなどをチェックしています。特に、ジャンルが似ている動画は、分析して自分の動画に活かしています。

ーーすべて地道な研究の賜物なんですね。最後に、今後の活動について教えてください!

主人さん:
もう少し「外向き」の動画を作りたいなと思っています。最近はフォロワーにはわかるけど初見ではわからない「身内ネタ」っぽい動画になっている気がするので、初見の方でもわかりやすく面白い動画を作りたいですね。

本当はトレンドを追ったり、音源でバズったりしてみたいのですが、正直TikTokはまだ掴めていないので、引き続き勉強しながらやっていきたいです。

あとは、コメント欄を僕は大切にしているので、なるべくコメントに返信してコミュニケーションをとり、LIVE配信もいまより積極的に取り組んでいきたいです。

基本的には愛犬の成長記録であることに代わりはないので、フォロワー数などの目標はありません。僕が面白いと思う動画を作って、それを観に来てくれた人と近い距離でやり取りができたらいいなと思います。

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