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[インサイト事業部]

アドリブが生み出す、リアルでエモな男女関係。シコい社長・しこしゃが語る、“エモ動画”の裏側

「お互いに気持ちをさぐり合ってる感じがリアルすぎる…。」

「2人のエモくてこっちがニヤけちゃう動画を見るのが本当に好き!」

そんなコメントが溢れかえる動画を配信しているのは、5人組動画クリエイター「シコい社長」。YouTube登録者は30万人以上。今どきな男女の恋愛が描かれたドラマチャンネルとして、いま話題を呼んでいます。

その人気の秘訣はなんといっても「リアルさ」。アドリブで演じられる様々な男女の出会いは、まるでドアの隙間から男女を覗き見しているよう!

今回はそんなシコい社長・リーダーのしこしゃさんに動画を撮るようになった経緯や、撮影の裏側をお聞きしてみました!

フォロワー数は1万人、YouTube登録者は200人。「シコい社長」のはじまり

ーーYouTubeチャンネル「シコい社長」は、どのような経緯で始まったのでしょうか?

しこしゃさん:
シコい社長は、最初は僕の個人チャンネルとしてスタートしたんです。
当初僕はTwitter(現X)で恋愛の裏技やあるあるを投稿するインフルエンサーをしていて、その延長としてYouTubeを始めたのですが…それがまったく見られなくて!(笑)フォロワーは1万人ほどいたのに、登録者は開設から1ヶ月で200人。自分でもびっくりしました。

ーーフォロワー数がいれば、YouTubeもすぐに伸びるわけではないんですね。そもそも、恋愛系の発信を始めたのはどうしてなのでしょう?

しこしゃさん:
自分のやりたいことを実現するために、自分自身が一気に多くの人の目に触れる存在でいたいと思ったからです。
僕は大学生を卒業した後どこにも就職せずに起業をしたのですが、どの事業もあまり上手くいかなくて。自分のやりたいことを叶えるには「拡散力が必要だ」と感じたんです。

そこで、自分にとって一番ネタが途切れなさそうでモチベーションの湧く「大人の恋愛」を選んで発信を始めました。

きっかけはいつもの下ネタトーク

ーーそんなときにバズったのが、現メンバーでもあるなめろうさんとよすけさんと撮影した「男だけの下トーク」ですね? それまでは1人で撮っていた動画を、今のメンバーの皆さんと撮り始めたのはなぜでしょうか?

しこしゃさん:
YouTubeの停滞に落ち込んでいたときに、高校のときからの友達である、なめろうとよすけから「気分転換に旅行でも行こう!と誘われたんです。そこで、大学生の恋愛や合コンのことを下ネタ混じりに話していたところ、あの動画が生まれました。

僕らにはよくあるんですよね、下ネタを話すノリって。だからあの日も「いつもどおりバカなこと話そう〜」というつもりで話をしていたのですが、なめろうが「動画撮ろうぜ!」と言い出して。

ーーなめろうさんの一言がなければ、あの動画は生まれてなかったのですね!

しこしゃさん;
そうなんです。試しに撮影した動画を編集してみたらなんだかおもしろく「もしかしてバズるかも?」と思い、投稿をしてみました。
思えば、当時のYouTube業界には、恋愛系の質問に答えるYouTuberはいても、男性同士が恋愛や下ネタを語るチャンネルはなかったんです。だからこそ、あの動画をきっかけにさまざまな人から見られるようになったのかなと思っています。

没入感を楽しんでもらうために、全力で「エモ」くて「シコい」動画を。エモ動画制作の裏側

ーー今のような雰囲気の動画に本格的に取り組まれるようになったのはこちらの動画からですよね。これまでの男子トーク動画からかなり印象が変わっていますが、どうしてこのような動画を撮影したのでしょうか?

しこしゃさん:
この動画を撮った3年前って、ちょうど「モーニングルーティン」の動画が流行った時期なんです。僕らも流行りに乗ろうとしたのですが、ただ僕らのモーニングルーティンを撮ってもおもしろくないと思い、僕たちの得意な恋愛や「シコい」話題を絡ませて撮ることにしました。

雰囲気をドキュメンタリーのように撮影した理由の1つは、没入感のある雰囲気が恋愛とマッチすると思ったからですね。僕らはこの雰囲気の動画を「エモ動画」と呼んでいるのですが、エモ動画って、まるでその場にいるかのような空気感が味わえると思っていて。

こちらの動画のように、僕らの動画はそれまで女性が男性のリアルな恋バナを覗き見するような感覚で見ていただくようなものだったこともあり、よりその感覚が味わえるエモ動画はウケるのではないかと考えました。

しこしゃさん:
あとは「下ネタ」×「エモ」のギャップがおもしろいのではないか?と思ったことも理由です。全力でバカなことをしてるって、それだけでなんだかおもしろいんですよ。例えば僕が参考にしたのは、YouTuberのこんびにこさん。

しこしゃさん:
映像は綺麗なVlogなのに、内容は笑えてしまうものばかり。そのギャップも重なり、さらにおもしろく感じるんですよね。だから僕らは全力で「シコくて」「エモい」動画を作ろうと思ったんです。

自然さを第一に。徹底した雰囲気作りとアドリブによる、リアルな男女関係

ーーそんなエモ動画がヒットし、再生数も大きく伸びています。動画制作で、意識されていることはありますか?

しこしゃさん:
やはり、リアルさを追求することです。僕らはすべての動画をアドリブで撮影していますが、それは一発で決めているという意味ではなく、かなり試行錯誤をしているんです。
撮影の途中でカットを挟み「その言葉は、雰囲気が崩れるよね」「彼女だったら、それは今しないと思うよ」とメンバー同士で意見を交換しながら撮影を進めています。

ーー恋愛のアドリブシーンを撮影するのは、演技のプロでも難しいものがあると思います…!

しこしゃさん:
演技経験がないのにも関わらず、アドリブでの撮影ができているのは、メンバー各々の恋愛経験とポテンシャルだと思っています。
それぞれの性格も違うからこそ、「タイプの違う男性と恋愛している」「自分(のパートナー)に1番近いのはこの人!」と感じてもらえてもいるようです。

ちなみに、企画も自分たちの経験から生まれていることがほとんどです。僕らのコンテンツはとにかく「リアル」であることが最優先なので、少女漫画やアニメはあまり参考にしていません。見るとしたら、Xの投稿を見る程度ですね。

メンバー各々の個性と経験がないと成り立たないのがシコい社長。だからこそ、僕らのコンテンツは他のYouTuberには真似できない唯一無二のものなんです。

お相手の選抜基準は「恋愛経験の多さ」

ーーお相手となる女性の演技力も話題となっていますよね。お相手役はSNSや視聴者の皆さんから募集しているそうですが、そこにもやはり「リアル」へのこだわりが詰まっているのでしょうか?

▼「女の子のあざとさがリアルすぎる…!」と話題を呼んだ動画

しこしゃさん:
やはり、出演してくださる方にも恋愛経験の多さは求めています。アドリブでも異性がキュンとする言葉が出てきたり、恋愛の雰囲気を醸し出せたりするには、出会いのバリエーションも数も多くの恋愛を経験してないと難しいと思うんです。

だから募集の際には彼氏だけではなく、セフレの有無やマッチングアプリの使用歴なども絶対に聞くようにしています。

ーー一定の条件があるんですね。他にも、工夫している点はありますか?

しこしゃさん:
撮影空間ですね。撮影は主に僕の家で行っているのですが、「女性を連れてくるのにちょうど良い家ってどんな感じかな?」と想像し、おしゃれでリッチすぎず、簡素すぎない自宅感を目指してインテリアを選んでいます。

僕らのチャンネルは大学生くらいの年代から多く見られているので、より共感が得られやすかったり、妄想が広がりやすかったりする動画作りのために、雰囲気作りにはこだわっています。

音楽活動から通話トークまで!ファンとの関係を築くセカンドチャンネル

ーー最近では2つ目のチャンネルとなる「ちょいちょいモザイク(ちょいモザ)」を立ち上げて、さまざまな活動をされていますよね。

しこしゃさん:
僕ら5人がファンの皆さんとより交流を深めるチャンネルとして、さまざまなことに取り組んでいます。エモ動画の前に上げていたような男子トークをしたり、最近ではオリジナルソングを歌ったりもしているんです。

ーーファンクラブやオフ会ツアーなど、ファンの皆さんと接する機会も多いように感じます!

しこしゃさん:
そうですね!ファンの皆さんとの距離の近さは、僕らの特徴の1つだと思います。例えばファンクラブでは、月に一回程度視聴者の方と電話をする会を開いているんです。アイドルのオンライントーク会のようなものではなく、10分ほどお話していることもありますね。

何度も通ってくださるファンの方だと、恋愛事情も全て知っている友達のような関係になっていて。「聞いてよ、彼氏が浮気して…!」「また浮気したの?もうやめときなよ!」みたいな会話にもなりがちです(笑)。

恋愛の話題は心の距離が近づきやすいというのもありますが、登録者が30万人を超える規模で、ここまでファンの皆さんと距離が近いチャンネルは、他にはないと思っています。

ジャンルも媒体も羽を広げた、リアルなエモコンテンツのプロに。これからの「シコい社長」

ーー「シコい社長」として、今後取り組みたいことはありますか?

しこしゃさん:
今の「恋愛系エモ動画クリエイター」としての見られ方に留まらず、一層幅の広い活動に羽を広げていきたいです。

具体的には、僕らのYouTubeチャンネル以外の媒体でもエモコンテンツを作っていきたいですね。漫画やアニメ、映画も制作したいですし、他のチャンネルとコラボして、僕らの強みを活かした新しいコンテンツを作り上げたいとも考えています。

個人の活動にも力を入れて「1人でもおもしろいけれど、全員集まったらもっと面白い。」そんな自分たちを目指したいなと。

ーーこれからも新しい展開が盛りだくさんになっていきそうですね!

しこしゃさん:
そうですね! まずは自分たちが楽しさを忘れないことを大切に。大好きな仲間とファンの皆さんと一緒に、これからもさまざまな活動を行えればと思っています。