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[インサイト事業部]
「何のネタなら100本投稿できる?」で閃いた。“大学生あるある”で人気のまんぷくユナイテッド・まつしたが語る、お笑い芸人のTikTokの裏側
「サークルの先輩がまさにこれでした」
「このあと『〇〇〇』って言うんだよね〜」
いま、大学生から多くの「わかる!」を集めるお笑いコンビ「まんぷくユナイテッド」のまつしたさん。TikTokのフォロワーは40万人以上。キレの良いツッコミで答えるお悩み相談や、視聴者の投稿へのリアクションシリーズが人気です。
数あるお笑い芸人のSNS投稿のなかでも一線を画す、まつしたさんのコンテンツ。
今回はご本人に、動画を撮り始めたきっかけや、尽きないネタ出しの裏側をお聞きしてみました!
「何のネタなら100本投稿できる?」動画を撮り始めたきっかけ
ーーまつしたさんがTikTokにあるあるネタを投稿し始めたのは、2019年頃ですよね。当時はTikTokにお笑い芸人さんが動画を投稿するイメージがなかったと思うのですが、どのような経緯で“あるあるネタ”を投稿するようになったのでしょうか?
まつしたさん:
当時お笑い芸人でSNSを精力的にされていた先輩「スーパーサイズ ・ミー」の西本さんにごはんに連れていってもらって、TikTokの相談をしたことがきっかけです。
もともと先輩には「お前やったら伸びるけどな〜」と言っていただいていたので、最初はネタを投稿していたんです。ただ、全然伸びなくてやめちゃって…。
走りはじめのお笑い芸人って、社会人の方より時間があるので「やらない意味はない!」と思ってはいたものの、どうやったらいいのかわかんなかったんですよね。
そこで西本さんに聞かれたのが「何のネタだったら100本動画作れる?」ということでした。まずは3ヶ月毎日やってみることが重要だと教えてくれて。
ーー何だったら100本作れるか…おもしろいです!
まつしたさん:
そこで思いついたのが「大学生あるある」だったんです。僕は大学時代、お笑いサークルのほかにアカペラとオールラウンドサークルに入っていて、勉学そっちのけでサークルや遊びに夢中になっていました。
大学生のころの楽しかった思い出を振り返ると、同時に思い浮かんでくるのが「あのとき、あんな馬鹿なことしてたな」とか、「あの人がよく場を盛り上げていたな」とか、印象的な人たちの顔で。その人たちのことや、大学時代によく経験したエピソードだったら無限にネタにできそうだと思ったんですよね。
ちなみに、今は「社会人あるある」や「恋愛あるある」も投稿していますが、これらもすべて僕の経験をもとに作られています。「こんな上司がいたなあ…」とネタにしてみたり、人から聞いた恋愛話をもとにしてみたり。もとから恋バナは大好きなので、いろんな人の話を参考にさせてもらっていますね。
ーーあるあるネタは、まつしたさんの経験をもとに作られているのですね! 投稿を始める前は「結果が出なかったらどうしよう」と不安に思ったりすることはありませんでしたか?
まつしたさん:
もちろん不安もありましたが、せっかく相談にのってもらったのにやらないわけにはいかないのと、まわりにはSNSで力をつけている先輩もいたので「3ヶ月で100本も投稿したら、1個もバズらないわけはないよね!」と漠然とした自信は持っていました。
ーー実際に100日間投稿してみていかがでしたか?
まつしたさん:
たしかに、何本かバズった動画はあったのですが、TikTok投稿が生活の一部になったことが何よりの収穫でした。やっていくうちにこちらも楽しくなってきて、毎日やるのが当たり前みたいになって。モチベーションが続かないことも悩みの1つだったので、これは嬉しいことでしたね。
フォロワーさんもだんだんと増えて、街で「TikTokのまつしたさんですよね?」と声をかけられるようになったときは、めちゃくちゃ嬉しくて、もっと頑張ろう!と思ったり。
驚いたのは、母親の友人が僕のSNSを見て連絡してきてくれたことです。劇場でネタをしているだけでは絶対に届かない人に影響するSNSはすごいなと、感心したことを覚えています。
フォントの使い方からフォーマットのシェアまで。先輩から学んだTikTok
ーーちなみに、具体的な動画の作り方をお聞きしたいのですが、撮影や編集はどのようにしていますか?
まつしたさん:
基本的には1人でやっています。撮影は、ネタを思いついた瞬間にパッと撮ることが多いですね。1週間分まとめて撮っている時期もありましたが、あまりそれは向いていなかったので思いついたときに撮る方式に戻しました。
撮影や編集の仕方は自分で試行錯誤しつつも、エルフ荒川さんやレインボー池田さんといった芸人の先輩方にアドバイスをもらっています。フォントの使い方やタイトルの秒数、ハッシュタグの使い方まで、自分の経験をもとに「これでもか!」というほど丁寧に教えてくれるんです。
自分のアカウントでたくさん苦労されてきたのに、その知識を遠慮なく渡してくれて本当にありがたいですよね。
なかには自分の動画フォーマットを丸コピさせてくれた方もいるんですよ。僕がYouTubeに投稿しているお悩み相談シリーズは完全に事務所の先輩であるなかむたさんのパクリです(笑)。
なかむたさんにご飯に連れて行ってもらった際、「僕にもお悩みやらせてください」とお願いしたら「別に俺のものじゃないから大丈夫だよ。松下なら伸びると思うから頑張って!」と快く許可していただきました。
まつしたさん:
最近は同期でもTikTokをやっている芸人は多いので、劇場で会ったときにはよく動画談義をしています。
僕が始めたころは、本当に一部の芸人しか投稿をしていなかったのですが、最近ではテレビ番組にもよく出演されている方でもYouTubeやTikTokをやっていて、芸人のなかでもSNSに力を入れるのはもはや当たり前になっていると思います。
ーーまつしたさんは今でも毎日のように動画を投稿されていると思いますが、ネタが尽きることはないのでしょうか?
まつしたさん:
それが、あまりないんですよ…! ネタが尽きないからこそ、ずっと続けられているのかもしれません。
でも、考えるのが疲れるなあと思う日はありますね。そんなときは、同じく大学生活を楽しんでいた芸人仲間とカフェに行って、大学の思い出や面白エピソードを話しつつ、ネタ出しに付き合ってもらっています。
人と話していると自分だけでは思いつかなかったネタが浮かんだり「こういうのって大学生っぽいよな!」と解像度が上がったりするんです。
ーーたしかに、ひとりじゃ行き詰まっていたことでも人と話しているうちに解決することってありますよね!
まつしたさん:
そうなんです。それでいうと、今の大学生のサークルあるあるやどんな飲み会をしているのかはぜひ知りたいですね!
実はこのあいだ、カフェにいたときにTikTokを見てくれている大学生の子が話しかけてきてくれたんです。
せっかくなのでおしゃべりしながら今の大学生事情を聞かせてもらったのですが、あまり僕が大学生だったころと変わらなそうだと思った一方、きっと喋っているだけではわからないことがたくさんあるんだろうなと思って。
だから、大学生の飲み会を覗き見したり、大学生に混ざって1日を体験してみたりしたいと思っています。
芸人だからこそ、おもしろくわかりやすく。今後投稿したいのは「勉強動画」
ーーまつしたさんが今後やっていきたいことや、目標はありますか?
まつしたさん:
明確な目標はありませんが、動画投稿はこれからも続けていきたいです。
時には面倒になることもあるのですが、やっぱり「ポジティブになれる」「元気になった」というコメントをもらうと、こちらも元気が出てきて頑張ろうと思うんですよね。
あとは、勉強系のコンテンツをやってみたいです。結局やめてしまったのですが、実は「100日投稿できること」を考えていた時期、候補には勉強系のものもあったんですよ。
ーー勉強ですか! 大学生あるあるとはまた違った方向性ですが、どうして勉強を?
まつしたさん:
僕はもともと勉強が嫌いではなく、やるのも教えるのも好きなのですが、そうではない人もいるじゃないですか。
でもそういう人のなかには、先生の教え方が悪かったり、親に強制されすぎてしまったりしたことで、勉強の楽しさを知らないだけの人もいると思うんです。
▼実は法学部出身のまつしたさん。新卒では大手企業に就職したエリートでもあります!
まつしたさんのnote
まつしたさん:
勉強が嫌いなのは悪いことではないのですが、もし自分にやりたいことがあって、自分にはその才能があるのに、勉強が嫌いだったり苦手だったりするだけでその道が閉ざされてしまうのは勿体無いなと。
だからお笑い芸人としては、おもしろく、わかりやすく勉強を教える先生になって、学ぶことの楽しさを知ってもらいたいと考えています。
しかし、そのためには僕もまた学び直しをしなくてはならず、時間を作るのが大変なんですよね。実は一度投稿してみたこともあるのですが、あまり伸びなくて…ただ、可能性はすごく感じているので、いつかチャレンジしてみたいです。