Zview

[インサイト事業部]

「暖炉のあるカフェ」や「生いちごミルク」で大注目!シーシャが吸えるカフェ&バー「musch」が人気を集めるわけ

専門店ができるなど、近年Z世代を中心に人気を集めている「シーシャ(水たばこ)」。そんなシーシャを体験できるカフェ&バーがSNSで話題です。

東京を中心に13店舗を展開するmusch(ムッシュ)は、都会に居ながらも時間を忘れてゆったりできる「五感を楽しませる」夜カフェとして、店舗ごとに雰囲気の異なるリラックス空間が広がっています。

大きな暖炉のある渋谷店、ハンモックやドームなどの席がある宮下パーク前店、カラオケやスイッチの置かれた個室がある麻布十番店…

リフレッシュとしてシーシャを吸うためだけではなく、1人での作業用やデートなど、カフェのように利用する人が多いのも特徴です。

今回はmuschが人気を集めるワケを解明するべく、muschや系列店のmuseでマーケティング戦略を担当する益田 翔さんにお話を聞きました。

まずはカフェのような居心地の良い空間へ。muschが大切にするコンセプト

ーーmuschのコンセプトは「五感を楽しませる」とのことですが、これはどういった意味なのでしょうか?

益田:
シーシャがもたらすリラックス効果を最大限に感じていただくべく、目で見るものや耳から入ってくる音など、空間そのものにもこだわる。それが「五感を楽しませる」muschの特徴です。

muschのビジョンは、シーシャをニッチなものから大衆的なものへ昇華させることです。

しかし、海外からやってきたシーシャは古いビルや人を選ぶ内装やタトゥーの入ったお兄さんが店長だったりしてイメージ悪いことが多いです。ここ数年でシーシャの認知は確実に広まっていますが、シーシャ文化のアンダーグラウンドなイメージ自体は払拭しきれていないのです。

そこでmuschでは、まずはカフェのように気軽に行ける居心地の良い空間を増やし、そこにシーシャを置くことにしました。

ロマンチックなムードを醸し出すライトや、結婚式場を思わせる丸テーブル、あちこちに置かれたアーティスティックな植物、鏡張りの天井など、インテリアに強いこだわりを持っているのもそのためです。

日中と夜で雰囲気をガラッと変えるために店内の音楽を調整したり、暗さを変えたりと、微々たるところまで気を配ることで“非日常”が体験できる空間を意識しています。

ーーたしかにmuschは、入店した方に対してシーシャではなくドリンクの1オーダーをお願いしていますよね。

益田:
シーシャを吸ったことがない方が、シーシャのある空間に来ることを重視しているんです。もちろん体験してもらえたら嬉しいのですが、まずは身近に感じていただきたいと考えています。

実際、muschは来店客の6割ほどが20代女性であり、シーシャを吸わないお客さんも20〜30%ほどいます。今すぐに体験せずとも、気が向いたときに試してみてほしい。そこで合わなかったら、以降はカフェとして利用してもらえれば良いのです。

ーーたしかに、muschに来てまわりのお客さんがシーシャを吸っているところを見たら、自分も試してみたくなりそうです。

益田:
muschで初めてシーシャを吸った! というお客様も多くいますね。シーシャを利用するのが初めての方でも安心して楽しめるよう、muschではノンニコチンのフレーバーも多数用意しています。

スタッフには接客・技術ともに研修を行っているため、シーシャやドリンク・スイーツだけでなく、サービス面においても満足いただけるはずです。

店内のすべてで感動体験を。徹底したクオリティへのこだわり

ーーmuschは朝5時まで営業していて「終電後にも楽しめる」お店としても話題になっていますよね。

益田:
muschは夜カフェの市場を軸に置いているんです。シーシャ専門店の数が急増している今、シーシャで勝負するだけではどうしても目立てない。そこで注目したのがカフェの市場でした。

ちょっとした空き時間で作業をしたいとき、友達とご飯を食べ終わって、もう一軒行くほどお腹はすいていないけどどこかに入りたいときなどに、muschを利用してもらえたらと思っているんです。いうなれば「夜のスタバ」ですね。

「1時間くらい間が空いたから、muschでシーシャでも吸いながら過ごそうかな」

そんなふうに皆さんが感じてくれるのが理想です。

ーー生いちごミルクや暖炉で焼ける焼きマシュマロなど、メニューも魅力的です。

益田:
muschで体験したものすべてで「五感を楽しませる」ために、提供するメニューの種類はもちろん、中身にもこだわっています。運営に関わるメンバーのなかにはもともとインフルエンサーだった方もいるので、味だけではなく見た目にもかなり厳しいはずです。

新メニューの試食会でも毎回のように厳しい意見が飛び交っており、1つの商品を作るのに2〜3か月以上がかかります。いつも隣で様子を見ていますが、担当者は日々頭を悩ませていますね…(笑)。

「来てもらう」お店作りには、“バズる根幹”が最重要

ーーお話を聞いていると、空間にもコンテンツにも、ものすごくこだわっていることがわかります。

益田:
「どんなシーンでも素敵な体験をご提供したい」「お一人様でも気軽にご利用いただきたい」という想いから、どの店舗も細部まで作り込み「妥協しない」ことを徹底していますね。

ーーmuschはよくSNSで取り上げられている印象があるのですが、コンテンツを作り込むのはそのほうが話題になるからなのでしょうか?

益田:
SNSで取り上げてもらうためよりも、人が来るお店を作るためだと思います。

たしかに私たちはSNSで話題にしていただくことや口コミを重視していますし、毎月予算をかけてインフルエンサーの方にPRを依頼するなど、SNSでの露出数を強化しています。日々凄まじい勢いで移り変わるSNSのトレンド事情や、アルゴリズムのインプットも欠かしません。

しかし、それだけでは人が来るお店にはなりません。お店に来てもらうことを目的にSNSで告知をするのであれば「バズる根幹」が重要であり、もしバズったとしても見てくれた方に刺さらなければ、お客さんは来ないのです。

muschは「TikTokやInstagramを見て来ました」と言っていただく機会が非常に多いお店なのですが、それはmuschがお客さんのニーズに寄り添うコンテンツ作りに力を入れているからだと考えています。

ーーなるほど、ありがとうございます!最後に、muschがこれから目指していく目標や将来像について教えてください。

益田:
muschの店舗数は2024年2月現在で現在で13店舗。系列店の「muse(ミューズ)」も20店舗を超え、今では業界1位の規模となりました。今年中には系列を含め、40店舗以上に店舗数を増やす予定です。

ちなみに、東京だけではなく地方や海外に拠点を持つことも構想しています。市場のリーディングカンパニーとして歴史に名を刻むことが長期的な展望です。

また、今後は日中のカフェ利用としても多くの方に愛されるよう、力を入れていきたいと考えています。これまでも日中の営業はしていましたが、夜のロマンチックな雰囲気やバー利用のイメージが先行して、今は皆さんに「夜カフェ」としての認知が広まっている状態だと考えています。

もちろんそれは嬉しいことなのですが、今後は昼も夜も使っていただける居心地の良い空間として広まっていければという想いです。

最終的にはアンダーグラウンド感の強いシーシャ業界において女性1人でも入りやすい内装・ホスピタリティを目指し、前衛的な発想とこだわりを持って史上最高の顧客体験を創出していきます。