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[インサイト事業部]

Z世代の消費行動は?論文や調査結果、成功事例からマーケティングに使える傾向や特徴を解説

メディアで耳にすることが多くなった「Z世代」ですが、ほかの世代と比較して消費行動に違いがあります。

Z世代は、その大きな購買力、ブランドとのインタラクションへの新しいアプローチなどにより、マーケティングにおいて重要な役割を担っています。

そこで本記事では、Z世代の消費行動について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

【Z世代の消費行動のまとめ】
1.Z世代はコスパとタイパが重要
2.エモ消費が多くなっている
3.Z世代に効果的なマーケティング方法

Z世代とは?

Z世代とは、身近にインターネットがある環境で育った世代で1990年代半ば〜2010年ごろに生まれた若者のことを指します。

2024年現在では、10代〜20代後半の世代です。

「デジタルネイティブ」や「ソーシャルネイティブ」とも呼ばれており、SNSの発信力が強いことから、企業のマーケティングには欠かせない世代と言えます。
X世代やY世代との違い

Z世代のほかにも、「X世代」や「Y世代」があります。

生まれた年代と主な特徴を以下の表にまとめました。

世代生まれた年代特徴
Z世代1990年代半ば~2010年インターネットが身近にある世代
Z世代1980年頃~1990年代半ば技術の進化とともに成長した世代
X世代1960年代半ば~1980年頃まで経済的な確変期を経験した世代

Z世代は生まれたときからインターネットが身近にある世代なので、SNSやインターネットを中心に情報収集する方が大半です。

一方で、X世代は経済的な確変期を経験しているため、メディアとインターネットをバランスよく情報収集し、コストパフォーマンスと機能性を重視する方が大半となります。

このように、生まれた年代によって、商品に対する価値観や情報収集方が異なります。

Z世代とデジタルネイティブ世代の違い

デジタルネイティブ世代とZ世代の違いは、指し示す年代の広さです。

デジタルネイティブ世代は、生まれた時から慣れ親しんでいる1990年代後半から2010年代までに生まれた世代です。

その一方で、Z世代は日本でインターネットサービスが普及した、1990年代半ば以降に生まれた世代を指します。

生まれたときからインターネットのある世界で生まれているため、情報収集を得意としているのが特徴です。

生まれた年代特徴
デジタルネイティブ世代1990年代〜生まれたときからインターネットがある環境で育っている
Z世代1990年代半ば~2010年インターネットが身近にある世代

Z世代の特徴や傾向

先述の通り、Z世代は、インターネットが主な情報源となっているのが特徴です。

とくにZ世代は、商品をすぐにSNSを使って拡散することから、商品のアピール方法も考えなければなりません。

そこでここでは、Z世代の特徴や傾向を詳しく紹介していきます。

コスパとタイパが重要

Z世代は、ブランド品よりも、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスを基準に商品を選択します。

知名度に左右されず、金額に対して得られるリターンが大きいかどうか(費用対効果)、時間をかける価値が高いかどうか(時間対効果)で、消費行動をすることが多いです。

かけた時間によって、自分に得られる効果や満足感が重要となってきます。

そのため、Z世代は、費用対効果を表す「コストパフォーマンス」と時間対効果を指す「タイムパフォーマンス」を重要視するのが特徴です。

自分らしさを重要視する

Z世代は、人との距離感が独特な世代と言われており、インターネット環境がある時代で育ってきているため、コミュニケーション力が高いです。

一方で、Z世代は自分の気持ちをさらけ出して話せる相手の人数が以前の若者と比較すると少ない傾向にあります。

そのため、「本当は何を思っているのか」を感じるのが難しいです。

Z世代は、多くのSNSを保有しており、アカウントごとに言い方や表現を変えている方も少なくありません。

生活の大半をSNSで過ごすZ世代は、仮面をつけてコミュニケーションするのが当たり前になっています。

しかし、この仮面はネガティブなことではなく、自分の色々な側面を出したり、ストレス発散できたりするのもメリットです。

情報収集はSNSが中心

Z世代が情報収集をする際に使用するのは、主にSNSです。

価値観や多様性も大切にしているZ世代は、多くの年代をターゲットにしている、CMやテレビなどのメディアよりも、SNSで情報収集する方が多いです。

SNSは、リアルタイムで情報を習得できるうえに、個人の状況に合わせた情報も得ることができます。

とくにZ世代は、インターネットが当たり前にある世代を生きているので、スピードと効率を重要視します。

すぐに情報を得られるSNSによってスピーディに行動に移すのもZ世代の特徴です。

Z世代の消費行動

Z世代-消費行動4

Z世代は、好みが多様化されており、商品の機能性のみを宣伝しても刺さらないので、従来のマーケティング方法では通用しないと頭を抱える企業も多くなりました。

ここでは、Z世代の消費行動を4つに分けて紹介し、効果的なアプローチ方法を探ります。

エモ消費

近年では、市場に便利な物や良い物が溢れるようになり、商品の機能のみで優劣をつけるのは難しくなりました。

それは、技術の発達によって良い商品を作る環境が整ったことが要因です。

そんな時代を過ごすZ世代にとって、機能性の高さや料金の低さだけでは大きな魅力を感じることは少なくなりました。

Z世代は「エモ」という概念のもと消費行動をするようになっています。

エモとは簡潔に言うと「ハッピーな共感」のことです。

商品自体の魅力ではなく、手にしたことで得られる幸せや、商品が持つメッセージ性への共感がZ世代の消費の起点になっています。

形のあるものを消費する「モノ消費」、対象のサービスを得ることで体験できる「コト消費」、そのときにしか体験できない「トキ消費」など、消費のトレンドを表すキーワードは時代に沿って変化してきました。

そして、これまでの消費の形に続く新たなキーワードが「エモ消費」です。

これまでの広告に対してZ世代は、自分の意にそぐわない形ででてくることから、好きなコンテンツをみている時に邪魔される=「ナンパ」のように感じてしまい、嫌う傾向にありました。

エモは「ハッピーな共感」と言いましたが、主に「経験」「ハッピーを感じる」「コミュニケーションがある」の3つの要素で成り立っています。

たとえば、香水の機能性は「香り」ですが、それだけではエモは生まれません。

街ですれ違ったときに元カノ・元カレと同じ香水をつけていたら、「あのときは楽しかった」と思い出す「経験」によってエモが生まれます。

また、香水のメッセージ性がハッピーを感じるものであればエモになります。

友人と香水の話になれば、コミュニケーションによってエモが生まれるでしょう。

そのため、「エモ消費」においては、「経験×ハッピー×コミュニケーション」を押さえるマーケティングが重要になってきます。

メリハリ消費

「メリハリ消費」とは、自分に興味のあることにはお金を惜しまずに消費し、興味のないことについては徹底的に節約することを言います。

Z世代は「飲食にお金をかけない」と言われることも多いですが、気に入る箇所にはお金を徹底的に使います。

また、Z世代は、経済的豊かさを一度も経験していない世代でもあるので、投資や貯蓄をしっかりと考えている方も多いです。

そのため、お金を使わない部分を徹底しているのがZ世代の消費行動の特徴でもあります。

ストック消費

デジタルネイティブ世代であるZ世代は、基本的に対象の商品やサービスについての情報をSNSで集めることが多いです。

基本的な情報はGoogleやYahoo!などの検索サイト、口コミや実際の写真などをInstagramを中心に収集します。

しかし、一度見てすぐに購入を決めるわけではありません。

SNSで気になった商品やサービスについては、いいねや保存、またはスクリーンショットによって情報をストックします。

これらの行動を「ストック消費」といい、Z世代特有の消費行動だと言われています。

このようなストックしたものを購入に繋げるには、もう一度目に止めてもらうことが大切です。

接触回数を増やすために、情報を多く流すことも重要になってくるでしょう。

Z世代に効果的なマーケティング施策【事例付き】

Z世代-消費行動1

ここまで性格的な傾向や消費行動を見てみて、Z世代は、ほかの世代と商品を購入するためのプロセスや価値観が異なることがおわかりいただけたかと思います。

ここからは、実際にZ世代に効果的なマーケティング施策を事例付きで紹介していきます。

タップル公式TikTok「おさ活」

「僕と私と株式会社」が企画・プロデュースしている、株式会社タップルが運営するTikTokアカウントは、Z世代に効果的なマーケティングで、累計2億回再生されています。

「恋をしない世代」とも言われているZ世代をあえてターゲットにして、TikTokでショートドラマを展開しているのが特徴です。

思わずキュンとなるようなシチュエーションや気軽に見ることができるストーリーが若者に刺さり、開始すぐに100万回再生を超えるヒットコンテンツを連発しています。

宣伝や広告によって大々的に商品の価値を紹介するのではなく、「恋をしたい」とZ世代に思わせるようなコンテンツで、Z世代の心を掴みました。

エッセンシャル ザ ビューティー バリア

こちらも「僕と私と株式会社」がパッケージのデザインを担当した「エッセンシャル ザ ビューティ 髪のキメ美容素髪を守るバリアシャンプー・コンディショナー つり下げペア」です。

シャンプーやリンスは、自分の髪質に合うものを選ぶのはもちろんのこと、まずは店頭に並んだ際に手をとってくれることが重要ではないでしょうか。

ほかの商品との差別化をはかるためにも、中身だけではなく見た目も力をいれている企業も少なくありません。

そこで、「僕と私と株式会社」はシンプルな浴室がのなかで、アートとして楽しんでもらえるようなパッケージデザインにこだわりました。

パッケージを考える際に着目したのは、SNSネイティブ世代のお風呂の在り方です。

スマートフォンを手放さずに生活しているZ世代にとって、バスタイムは唯一、1人になれる時間でもあります。

今日のことを思い出し、未来のことについて思いを馳せたり。

このように、Z世代にとってのバスタイムの在り方に着目したことが、商品のヒットに繋がりました。

株式会社エイブル

最後に紹介するのは、株式会社エイブルの事例です。

Z世代に向けた会社紹介ムービーの制作とプロモーションを僕と私と株式会社がサポートし、「タイパ重視」の説明会を実現しました。

Z世代が求めるものは、コストパフォーマンスに加えて時間に対する効果を示すタイムパフォーマンスとなります。

インターネットが身近にあるZ世代は、必要な情報はすぐに手に入れることができるため、効率さを求めているのが特徴です。

そのため、長い時間の説明をされるのは億劫で、本当に知りたい情報のみを把握したいと考えています。

実際に僕と私と株式会社は、架空のターゲットを想定するのではなく、実際にエイブルのZ世代社員と2024年に新社会人となるZ世代の学生にアンケートを実施し、生の声を探りました。

「Z世代が知りたいけど、聞きづらいこと」を中心に構成を考え、従来2時間半もの時間を要していた会社説明会を15分間のオンライン動画へと仕上げています。

「本当に必要な情報のみを届ける」ということも、Z世代に向けたマーケティングのポイントです。

Z世代の消費行動に関してよくある質問

最後に、Z世代の消費行動に関するよくある質問を5つ紹介していきます。

Z世代はなぜコト消費をする?

結論、Z世代はコト消費をしているわけではありません。

コト消費とは、対象のサービスを得ることによる経験や体験を重視する消費行動のことで、時代による消費行動の変化を表した用語です。

  • モノ消費:第二次世界大戦後の復興機や高度経済成長期にかけてモノを消費するようになる。
  • コト消費:グローバル化と社会の経済安定期に入り、消費は学び、旅行などのコト消費へ。
  • イミ消費:東日本大震災での復興支援を機に他者や世の中への貢献を重視。
  • エモ消費:「経験」「ハッピー」「コミュニケーション」を感じることへの消費が重視される。

出典:経済産業省, “市場拡大の方策

このようにZ世代はコト消費をしているわけではなく、コト消費からイミ消費、エモ消費へと消費行動が時代に合わせて変化しています。

Y世代の消費行動の特徴は?

Y世代とは、1980年代初頭〜1995年前後に生まれた世代を指します。

この世代は、青年期にバブル崩壊後の失われた20年と呼ばれる時代を過ごしているのが特徴です。

社会的には就職難で苦労していた時代となります。

そんなY世代ですが、経済的に不安定な時代を経験していることから、保守的な価値観をもっているのが特徴です。

得られる体験に価値を得る「コト消費」を好む傾向にあります。

Z世代と同様にインターネットが身近にある世代なので、インターネットで購入する方も多いです。

Z世代の消費の割合は?

株式会社SVPジャパンの調査に結果によると、Z世代が1カ月のうち最もお金をかけているのが「貯蓄」です。

景気の良い状況を経験したことがないZ世代は、貯蓄を中心とした支出となっています。

「貯蓄」に続いて支出の割合が大きいのは、「趣味」、「交際費」、「推しメン」、「ファッション」の順です。

しかし、男性と女性で比較すると、男女ともに1位は貯蓄は変わらないものの、女性の場合2位は「化粧品と美容」となりました。

男性は2位に「趣味」、3位に「ゲーム・VR関連」となっています。

また、ネットショッピングでの消費の割合は1位が「ファッション」、つづいて「美容・化粧品」、「本・CD・DVD」の順です。

Z世代は、全員が保守的な支出をしているわけではなく、保守層と積極層の2極化していることもわかっています。

貯蓄に最もお金を使う保守層が多い一方で、自分が好きなことへの消費を積極的に行う積極層も存在します。

出典:株式会社SVPジャパン, “Z世代の消費意欲と購買行動について【調査報告書】

Z世代の市場規模は?

国連の統計によると、Z世代は世界人口の3分の1を占めており、2031年までにはZ世代の収入が世界の4分の1以上に達するという見解もあります。

しかし、日本では少子化の影響もあり、総人口に対して約10%がZ世代です。

10%と聞くと少ないように感じますが、Z世代は今後の日本の消費や労働力の中心になっていく世代と言われています。

日本の今後の経済を動かす世代と言われているため、Z世代のマーケティングは重要となるでしょう。

Z世代に人気のパーソナライズとは?

パーソナライズとは、一人ひとりに合った行動履歴や属性に合わせて最適な情報を提供する手法のことをいいます。

たとえば、特定の商品ページにアクセスした場合、閲覧履歴によっておすすめの商品が出てくる体験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

Z世代に高い支持を得ているTikTokでも同様に、ユーザーが最後まで閲覧した動画に似た動画がおすすめに流れるようになっています。

最後まで動画を閲覧することによって、ユーザーは飽きることなく見た基準となるからです。

このように、SNSやネットでは、一人ひとりに合った情報を素早く習得できるようになっています。

とくにZ世代は、より効率的に情報を習得したい傾向にあるため、パーソナライズサービスは高い人気を得ています。

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