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[インサイト事業部]

Z世代の思考傾向や特徴|効果的に関わり教育する方法とは

今後の労働市場や社会において重要な役割を果たすであろうZ世代に、注目が集まっています。

しかし、彼らの上に立つ会社員や管理職のなかには、Z世代との向き合い方に悩んでいる方もいるかもしれません。本記事では、Z世代の考え方や行動の特徴、彼らと効果的な関係を築く方法を詳しく解説します。

職場環境をより良くし、Z世代との円滑なコミュニケーションを図るために、必要な知識を身につけておきましょう。

Z世代とは1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指す

Z世代 とは

Z世代とは、1990年後半から2010年頃までに生まれた世代のことを指します。2023年時点では、10代から20代前半の年齢層がこれに当てはまります。

Z世代が生まれた時点で、すでにインターネットは一般的であり、彼らはテクノロジーに囲まれた環境で成長しました。そのため、幼少の頃からデジタルツールに慣れ親しみ、デバイスを使いこなす能力が優れていることから「デジタルネイティブ」と呼ばれています。

ミレニアル世代とは

ミレニアル世代は、Z世代の前の世代であり、1980年から1990年中頃までに生まれた人々のことをいいます。

ミレニアル世代が成長した時代には、インターネットの普及が急速に進みました。10代の頃からパソコンやインターネットが身近にあり、ITリテラシーが高い傾向です。

消費に関しては、購買体験を重視し、100円均一やファストファッションなどの低価格なものを選択する側面があります。

X世代とは

X世代は、1960年から1980年までに誕生した世代です。X世代がインターネットを積極的に利用しはじめたのは、大人になってからのことでした。

この世代はテレビや新聞などにもなじみがあり、アナログとデジタルの両方に適応しながら成長してきました。そのため、インターネットだけでなくテレビや雑誌なども活用し、情報収集をバランス良く行う傾向があります。

Z世代の働き方の傾向

Z世代の働き方には、以下の3つの特徴があります。

  • ワークライフバランスを追求する
  • 転職や副業に柔軟性がある
  • 安定性が欲しい

これらを把握することで、Z世代に適切な指導やサポートを提供できるでしょう。

ワークライフバランスを追求する

Z世代の働き方の傾向として、ワークライフバランスの重視が挙げられます。ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスの取れた状態のことです。

彼らはライフステージが変化しても、仕事と生活を調整しやすいかどうかを追求し、育児休暇・時短勤務・有給休暇などが利用できることを重視します。仕事よりもプライベートを優先する人が多い傾向で、サービス残業や長時間労働は好みません。オンとオフのメリハリをつけることもZ世代の特徴の一つです。

転職や副業に柔軟性がある

Z世代は、転職や副業に対して柔軟な姿勢を持っています。彼らは転職に肯定的で、終身雇用へのこだわりはほとんどありません。自身の能力や適正に合う職場を見つければ、積極的に転職することが良いと考えています。

また、副業やパラレルキャリアに関心を寄せる人が多いことも特徴の1つです。パラレルキャリアとは、本業以外に複数の仕事を持ち、さまざまなキャリアを築くことです。

Z世代は、将来を見越して自分自身でキャリアを切り開き、知識や経験を積極的に獲得しようとする傾向にあります。

安定性が欲しい

Z世代は、親世代がリーマンショックや終身雇用の崩壊などで苦労する姿を見て育ちました。不安定な社会や経済状況を目の当たりにしていることから、現実主義的な思考を持つ傾向です。

経済的な安定や安全な生活を重視し、リスクを抑えた堅実的な行動を好みます。またキャリアにおいても保守的であり、目立つポストへの就任や、リスキーなチャレンジは回避しがちです。

以上のことから「出世や昇進だけが成功ではない」というZ世代考え方がうかがえます。

Z世代の考え方の傾向

Z世代 考え方 傾向

Z世代の考え方の傾向は、次のとおりです。

  • 自分らしさを重んじる
  • 承認欲求が強い
  • 社会問題や環境問題への関心が高い
  • 多様性を尊重する
  • 受け身になりがち

以下で詳しく解説します。

自分らしさを重んじる

Z世代は、個々の自己表現やアイデンティティを尊重する側面があります。自己の満足感を重要視し、他人の評価よりも自身の信念を優先することが一般的です。

一方で、他者の視点にも敏感であり、社会的に許される枠内での自己表現がZ世代の特徴です。

これは、仕事においても現れています。彼らは昔ながらのキャリア形成には縛られず、自己表現や個人の充実感を重視する傾向です。ファッションや音楽・社会問題などにおいても、興味を持つ分野を選択し、自分らしさを表現します。

承認欲求が強い

Z世代は、他人からの承認や認知を強く求める傾向です。これは、SNSや配信を通じたコミュニケーションが、日常となっている現代の環境が影響していると言えるでしょう。

いいねやコメントがもらえることで、自己評価や自己肯定感を高め、他人から認められたという実感を得ることが多くなっています。Z世代は、自分の興味があるコミュニティでのつながりを重んじ、そのなかで感じたことや考えたことへの共感を求めます。

その一方で、周囲からの評判に過度に反応したり、指摘には折れやすかったりする側面もあります。

社会問題や環境問題への関心が高い

社会問題や環境問題への関心が高いことも、Z世代の特徴です。幼少期に東日本大震災を肌で感じ、SNSを通じてSDGsに関する情報に触れる機会の増加が影響していると考えられます。

彼らが商品を選ぶ際には、サステナブルな製品を好む傾向です。また、企業のSDGsへの取り組みが、就職活動において重要な判断材料となる場合もあります。

このことから、持続可能な社会に対する意識が、Z世代の生活の一部に浸透していると言えるでしょう。

多様性を尊重する

Z世代の考え方の特徴として挙げられるのが、ダイバーシティやインクルーシブさを重要視する点です。

彼らはSNSを通じて多くの情報に触れ、異なる人種やジェンダー、多様な価値観が社会に共存することを認識しています。多様性の尊重は学校教育にも取り入れられており、Z世代は他者の考え方や価値観に寛容な姿勢を持っています。

ただし、自分の考えと異なる価値観を押し付けられるのは好みません。あくまで自分の信念を尊重しながら、異なる意見に歩み寄ろうとする傾向です。

受け身になりがち

Z世代のもう一つの特徴は、受け身な姿勢が目立つことです。ゆとり世代を受けて成長したZ世代は、強い仲間意識を持ちながらも、自己主張は控えめな傾向です。

前述したとおり、Z世代は他人の評価を気にするため、周囲との調和を意識し、あまり積極的な発言をしません。また自発的な行動や、新たなチャレンジも避けるケースもみられます。

Z世代の消費行動の傾向

Z世代 消費行動

Z世代の消費行動には、以下の特徴があります。

  • コストパフォーマンスを重視する
  • デジタルネイティブで情報収集に余念がない
  • ブランドにこだわらず自身の感覚や個性を大切にする

Z世代が消費についてどのような考え方を持つのかを理解し、彼らと関わる際の参考にしてください。

コストパフォーマンスを重視する

Z世代の消費行動において、コストパフォーマンスは重要な要素です。また、コスパに加えてタイムパフォーマンス(時間対効果)の向上も追求します。

デジタル時代において、情報がいくらでも手に入る一方で、1日の時間には限りがあります。

そのためZ世代は、できるだけ効率良く、かつ自分のニーズに合った商品やサービスを見つけ出すことを追求するのです。

デジタルネイティブで情報収集に余念がない

生まれた時からインターネットが身近にあるZ世代は、情報収集は入念に行います。彼らはデジタル機器を使いこなし、調べる内容によって検索媒体を変えることが特徴です。

例えば、ファッションやコスメの情報収集にはInstagramを活用し、アニメやアイドルなどの推しの情報や最新のトレンドは、Twitterで情報を集めます。

また、GoogleやYahoo!検索などは、SNSの追加情報を得るための補足的ツールとして利用されています。Z世代のお金の使い方に関しては、堅実な思考であるものの、自分の好みやニーズにあった商品やサービスには、費用の捻出を惜しみません。

ブランドにこだわらず自身の感覚や個性を大切にする

Z世代は、高価なハイブランドよりも、実用性や独自の感覚・個性を大事にしています。他人と同じものや、認知度の高い商品にこだわらず、自分自身が評価し共感するものを選ぶ傾向です。

また企業が提供する情報よりも、友人やお気に入りのインフルエンサーがおすすめする商品やサービスから、自分の好みに合うものを選ぶことが多いようです。

自身の価値観や感覚と合致したものを見つけることが、Z世代の消費行動において重要だと読み取れるでしょう。

Z世代を採用するための3つのコツ

Z世代を採用する際には、以下の3つのコツをつかんでおきましょう。

  • 柔軟な働き方ができる環境
  • オンライン説明会・面談の実施
  • 情報を開示し意見を擦り合わせる

以下で解説していきます。

柔軟な働き方ができる環境

Z世代を採用する際には、週休3日制やリモートワーク・ワーケーションなど、従来のオフィス勤務に縛られない柔軟な勤務体制を提供する必要があります。

僕と私と株式会社」では、社員全員がフルリモート・フルフレックスで活動しており、多様な働き方をしています。福利厚生にリゾートワーケーション制度があり、リゾート地で仕事をしながら旅を楽しむことも。

多様で柔軟な考え方を持つZ世代に合った環境を整備できれば、社員の満足度や定着率を向上させられるでしょう。

オンライン説明会・面談の実施

Z世代をターゲットにした採用活動には、気軽に参加しやすいオンライン説明会やオンライン面談の実施がおすすめです。

新型コロナの影響で、オンライン説明会や面談が増加し、現在の採用活動では主流となっています。効率的な求職活動が可能であり、求職者にも人気が高い傾向です。

自社に興味を持つ就活生と接する機会の増加が見込まれるため、企業にとってメリットもみられます。

また、遠方に住んでいる求職者でも参加しやすいため、幅広い人材の獲得につながるでしょう。

情報を開示し意見を擦り合わせる

デジタルネイティブなZ世代に向けて、動画配信やSNSでの情報開示をしましょう。Z世代の就活での情報収集は、主にSNSやYouTubeであるため、こうしたツールの活用は必須と言えます。

また、面接時にZ世代の考えや価値観を聞き出し、意見の擦り合わせをすることも重要です。面接は、採用可否を企業が決める従来の方法から、お互いの意見を交換する場へと変化しています。

これらを実施しお互いの情報を共有することで、Z世代に企業イメージが伝わりやすくなるため、入社後の定着率の向上が期待できるでしょう。

【教育方法】Z世代の価値観や考え方に合わせた関わり方

Z世代 価値観 教育

Z世代の価値観や考え方に合わせた教育方法には、以下の5つが挙げられます。

  • コミュニケーションツールを積極的に活用する
  • 参加型・体験型の場を提供する
  • 仕事の目的や意義を明確に伝える
  • 個人の声を尊重する
  • 感謝や称賛を言葉にして伝える

これらの関わり方に留意して、Z世代とのコミュニケーションをスムーズに進めましょう。

コミュニケーションツールを積極的に活用する

Z世代と効果的に関わるためには、積極的にコミュニケーションツールを活用しましょう。SNSに慣れ親しんでいるZ世代とは、手軽に考えや意見を発信できるプラットフォームでの交流が効果的です。

社内SNSやチャットツールを活用して、オープンなコミュニケーションを心がけましょう。

誰もが平等に意見交換できる環境を整えることで、新たなアイデアが生まれるかもしれません。また、対面では話しにくい不安や悩みを解決するのに役立つ可能性もあります。

参加型・体験型の場を提供する

リアルな体験を求めるZ世代に対して、実際に参加や体験ができる機会を提供しましょう。Z世代は、仕事においても効率を重視する傾向が見られるため、一から細かく指導する方法は適していません。

また、彼らは「新入社員だから」「若手だから」と一括りにされることを好まないでしょう。例えば、ロールプレイングやシミュレーションの機会の提供で、多くのスキルが向上できます。

そのほか、実際のプロジェクトに参加する機会を設けて成功体験を積み重ねることで、モチベーションアップが期待できます。

仕事の目的や意義を明確に伝える

仕事の目的や意義を明確に伝えることも、Z世代を指導するうえで大切です。前述したように、この世代はコスパやタイパを重視する傾向があります。

そのため、なぜその仕事をする必要があるのか、どのように役立つのかを詳しく説明する必要があります。仕事の目的が理解できれば、意欲的に仕事に取り組んでもらえるでしょう。

また、Z世代は社会貢献の意識も高いため、与えられた仕事が社会へどのような影響や効果があるのかを示すことも有効です。

指示を出す際は、業務の具体的な内容の前に「なぜ行うのか」「どのように役立つのか」を明確に伝えるように心がけてください。

個人の声を尊重する

Z世代は多様な考え方を持つ傾向があるため、指導の際には一人ひとりの声や考えを尊重することも重要です。昔ながらの「仕事とはこうあるべきだ」という考えを押し付けるのではなく、個々の意見に耳を傾けることを意識してください。

それぞれの異なる考えや価値観を否定せず、その考えに至った経緯や理由を聞き、個性を受け入れるように心がけましょう。

例えば、社員ごとに育成方法を変えることも一つの手段です。また、個別でのコミュニケーションの機会を設けて、意見交換することで信頼関係を築けることも期待できます。

感謝や称賛を言葉にして伝える

Z世代の社員に対しては、良いところや伸びしろなどを称賛し、気遣いやサポートへの感謝の気持ちを言葉で明確に伝えると良いでしょう。

彼らは他人からの評価を気にし、承認欲求が強い傾向です。そのため、業務の際に不安やプレッシャーを感じる可能性があります。

「できて当然」と思わず、感謝や称賛の意を表現することで、Z世代の社員に心理的な安心感を与えられるでしょう。

Z世代の傾向を把握し彼らのパフォーマンスを発揮できる職場環境の整備を

今回は、Z世代と効果的な関係を築く方法を紹介しました。

Z世代とコミュニケーションを図る際は、若手だからと一括りにせず、個々の声に耳を傾けて、異なる考えや価値観を受け入れるように心がけましょう。

また、彼らの優れた点を称賛し、歓迎や感謝の意思を伝えることで、信頼関係が築けるかもしれません。自分らしさや多様性を尊重するZ世代の採用活動において、デジタルツールの活用や柔軟な労働環境の整備が不可欠です。

これからの社会を担う優秀な人材を確保するために、ぜひ企業全体で取り組んでみてください。